汗に合わせて飲んだ回は、暑い部屋の間欠走が長く続いた

No.029負荷×回復ランダム化試験・12人

この記事が答える問い:水分補給の仕方を変えると、暑い中での運動はどう変わるのか?

暑い部屋で走った12人の研究では、汗の量と塩分に合わせて飲んだ回は、市販の電解質飲料を好きに飲んだ回より高強度の間欠走が長く続いた。ランダム化クロスオーバー試験で、約35度の部屋では平均765秒と548秒だった。

Strain 負荷この論文の位置回復 Recovery
12人参加者
35度暑い部屋の室温(約)
765秒暑い部屋・汗に合わせて飲んだ回の間欠走
暑い部屋のトレッドミルで走る人のシルエットと、手元の飲み物のボトル

3行でいうと

  1. 1汗の量と塩分に合わせて飲む方法と、市販の電解質飲料を好きに飲む方法で、暑い部屋と涼しい部屋の運動を比べた。
  2. 2汗に合わせた回は飲んだ量が多く、暑い部屋では間欠走が平均765秒と、好きに飲んだ回の548秒より長かった。
  3. 3暑さに慣れていない若い12人の実験室での結果で、水だけを飲む場合との比較や試合の場には広げられない。
汗のしずくと、量を量られた飲み物が並ぶ様子のシルエット
飲む量と塩分は、各環境の最初の慣らしの運動で測った一人ずつの汗から決めた。

研究の中身

研究の種類ランダム化試験
対象運動習慣があり、暑さに慣れていない若い成人(平均19.6歳)・12人
涼しい部屋・汗に合わせて飲む1回・約23度。汗で失った量と塩分に合わせた飲み物
涼しい部屋・好きに飲む1回・約23度。市販の電解質飲料と同じ塩分の飲み物を自由に
暑い部屋・汗に合わせて飲む1回・約35度。汗で失った量と塩分に合わせた飲み物
暑い部屋・好きに飲む1回・約35度。市販の電解質飲料と同じ塩分の飲み物を自由に

運動習慣があり暑さに慣れていない平均19.6歳の12人が、約23度の部屋と約35度の部屋(どちらも湿度30%)で、それぞれ5日間の試行を行った。各環境の最初の慣らしの運動で汗の量と汗のナトリウム濃度を測り、その値から一人ずつの飲む量と塩分を決めた。残りの日は、汗に合わせた飲み物を決まった量飲む回と、市販の電解質飲料と同じ塩分(約30mmol/L)の飲み物を好きに飲む回を、ランダムな順で行った。運動は、最大酸素摂取量の50%で45分走ったあと、飲み物なしで80%の60秒走と40%の30秒速歩きを続けられなくなるまで繰り返す形だった。体重、汗、耳で測った体温、主観的なきつさ、喉の渇きを測った。

測った物:飲んだ量、ナトリウムの摂取量、運動前後の体重の減り方、汗のナトリウム濃度、耳で測った体温、主観的なきつさの点数、喉の渇きの点数、高強度の間欠走を続けられた時間と本数

結果

涼しい・汗に合わせて飲む涼しい・好きに飲む暑い・汗に合わせて飲む暑い・好きに飲む
暑い部屋で間欠走を続ける人のシルエットが右下に小さく見える暗い背景
高強度の間欠走を続けた時間秒・長いほど長く続いた
涼しい・汗に合わせて飲む
1125
涼しい・好きに飲む
1005
暑い・汗に合わせて飲む
765
暑い・好きに飲む
548

各条件の平均。棒は0から。涼しい部屋の二つの回の差は統計的に意味のある差ではなかった。数値は出典[1]の本文の表から(論文の図は転載していない)。

ほかに分かったこと
  1. 1体重の減り方は、汗に合わせた回が0.49%(涼しい)と0.69%(暑い)で、好きに飲んだ回の1.19%と1.28%より小さかった。
  2. 2ナトリウムの摂取量は、汗に合わせた回が0.92gと1.18gで、好きに飲んだ回の0.19gと0.26gより多かった。
  3. 3間欠走の間の喉の渇きの点数の上がり方は、汗に合わせた回が2.0と2.2で、好きに飲んだ回の2.8と2.9より小さかった。
  4. 4間欠走の9〜11本目の主観的なきつさの点数は、暑い部屋で好きに飲んだ回が19で、ほかの回の17より高かった。
  5. 5涼しい部屋では、間欠走の時間は1125秒と1005秒で、統計的に意味のある差は見られなかった。

研究の種類の位置

動物・細胞
観察研究
介入(ランダム化なし)
ランダム化試験
メタ分析
弱い原因と結果をどこまで言えるか強い

編集部の読み

差が出たのは、暑い部屋の中だけだった。

涼しい部屋では、飲み方を変えても間欠走の時間に統計的に意味のある差は見られなかった。暑い部屋では、汗に合わせて飲んだ回のほうが長く続いていた。ここからは編集部の読みだが、この差を飲んだ量だけで説明できるかは分からない。汗に合わせた回は量も塩分も多く、飲み物の中身も違っていた。さらに暑い部屋の試行はいつも涼しい部屋のあとに行われており、順番の影響も切り分けられていない。暑い中で運動するときの飲み方を考える材料の一つにはなるかもしれない。

著者の見方

著者らは、好きに飲んだ回は汗で失った分の約41%しか補っていなかったと述べ、暑い部屋では汗に合わせた回の間欠走が約40%長かったとしている。その理由として、喉の渇きと主観的なきつさの上がり方が遅かったことを挙げている。一方で、水だけを飲む条件が無いこと、二つの飲み物の違いが渇きに影響して飲む量が変わった可能性があることを、限界として認めている。

当てはまらない人・研究の限界

  1. 1対象は運動習慣があり暑さに慣れていない平均19.6歳の12人だけで、性別の内訳は書かれていない。年齢の高い人、暑さに慣れた人、競技選手に同じ結果が出るかは分からない。
  2. 2実験室のトレッドミルでの単回の試行で、湿度は30%に固定されていた。屋外の試合や蒸し暑い環境とは条件が違う。
  3. 3著者自身が認めるとおり、水だけを飲む条件が無く、二つの飲み物の違いが渇きと飲む量に影響した可能性がある。前半の運動のあとに体重と電解質を測っていない点も著者が限界に挙げている。
  4. 4環境の順番はランダムではなく、暑い部屋の試行はいつも涼しい部屋のあとだった。

言えること・言えないこと

言えること

暑い部屋の研究では、汗の量と塩分に合わせて飲んだ回の間欠走は平均765秒で、好きに飲んだ回は548秒だった。

汗に合わせて飲んだ回は、どちらの部屋でも好きに飲んだ回より飲んだ量とナトリウムの量が多かった。

涼しい部屋では、二つの飲み方の間欠走の時間に統計的に意味のある差は見られなかった。

言えないこと

この研究から、涼しい環境で汗に合わせて飲むと運動が長く続くとは言えない(統計的に意味のある差は見られなかった)。

この研究は水だけを飲む場合と比べていないため、水との違いは言えない。

この研究から、暑さに慣れた人や屋外の試合で同じ結果になるとは言えない。

出典

[1]

Li H, Early KS, Zhang G, Ma P, Wang H. Personalized Hydration Strategy to Improve Fluid Balance and Intermittent Exercise Performance in the Heat. Nutrients. 2024;16(9).

DOI 10.3390/nu16091341

ランダム化試験・12人/確認した範囲:全文

全文:Europe PMC(cc by)

2026年11月5日公開

    この記事は AI を使って作り、公開の前に要旨と全文との照合と表現の点検を機械で行っています(編集方針)。研究の紹介で、診断や治療の代わりではありません。体調に不安がある方は医師に相談してください。